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知っておきたい和紙の種類・特徴まとめ。用途や産地を一覧で分かりやすくご紹介

唯一無二の魅力を持つ和紙は、文具だけでなく障子やインテリア雑貨など多くの製品に取り入れられています。ただ、一度は和紙を使ったことがあっても、種類の違いや産地についてはよく知らない、という方も多いのでは?そこで今回は、文具好きなら知っておきたい和紙の種類や特徴を一覧でご紹介します。

実はこんなにバリエーション豊か。和紙の奥深い世界を知ろう

和紙は日本の暮らしに古くから根付いている、伝統工芸品の一つです。折り紙や便箋、和室の障子などさまざまなところで使われているため、皆さんも一度は和紙に触れたことがあるはず。多くの方にとって馴染み深い和紙ですが、種類ごとに大きな違いがあることは意外と知られていないかもしれません。

一口に和紙と言っても、その種類は数多くあり用途もさまざまです。和紙の種類によって、ここまで柄や質感が違うんだと驚かされますよ。それぞれの種類の特徴を知って、和紙の魅力を再発見してみませんか?

多様性に富む和紙の種類と用途

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まずは、和紙の主な種類と用途を一覧で見てみましょう。和紙は素材や作り方によって種類が分けられ、それぞれにぴったりの使い道があります。気になる種類や使ってみたい種類はあるでしょうか。

    和紙の主な種類と用途
  • 楮紙(こうぞし)・・・文書用の紙や障子、照明などさまざまな形で用いられる。
  • 揉紙(もみがみ)・・・主に屏風やふすまに用いられる。
  • 友禅紙(ゆうぜんし)・・・美しい柄を活かして、千代紙や和雑貨、人形作りに用いられる。
  • 板締紙(いたじめし)・・・主に描画に用いられ、ちぎり絵や貼り絵、マーブリングなどを楽しめる。
  • 典具帖紙(てんぐしょうじ)・・・紙の薄さを活かして、宝石の包装や美術品の修復に用いられる。
  • 雲竜紙(うんりゅうし)・・・包装紙や障子、貼り絵などに用いられる。
  • 更紗紙(さらさし)・・・ふすまをはじめ、インテリアの装飾に用いられる。

和紙の代表「楮紙(こうぞし)」

楮紙は、楮(こうぞ)という植物の樹皮で作られた丈夫な和紙です。他の種類と比べて歴史が古く、生活のさまざまなシーンで活用されてきました。和紙の原料は楮の他に、三椏(みつまた)や雁皮(がんぴ)がありますが、楮は特に強度が高いのが特徴です。

少し黄味がかった楮紙は、書道用の半紙として使われています。また、破れにくいため木版画用紙としても優秀。インテリアでは照明器具に取り入れられ、室内を柔らかく照らす役目も担います。現代の生活にも身近な、頼もしい和紙と言えるでしょう。

シワが個性になる「揉紙(もみがみ)」

揉紙は名前の通り、手で揉んで柔らかく加工した和紙です。揉紙の中でも、揉み方によってさらに種類が分かれます。揉んだ際に入るシワが揉紙の大きな特徴。シワの入り方によって、いろいろな表情を楽しめるのが魅力です。

色鮮やかな「友禅紙(ゆうぜんし)」

友禅紙は、江戸時代から着物に用いられてきた友禅模様を、和紙に染めて作られます。カラフルで華やかな柄に目を奪われますね。友禅紙の折り紙が有名ですが、他にもペンケースやメモ帳、テープといった文具にも使われているんですよ。色や柄の種類が豊富で、自分好みの和紙を選べるのも魅力です。

ユニークな模様の「板締紙(いたじめし)」

板を使って和紙を締め付け、染色する作り方からその名前がついた板締紙。板で挟んだ部分と挟んでいない部分とで色が異なり、独特の模様が生まれます。和紙の折り方によって、格子柄や縞模様、六角形などいろいろなデザインの板締紙を作れるのが面白いポイント。折り紙や描画にうってつけです。

薄さが特徴的な「典具帖紙(てんぐしょうじ)」

典具帖紙は、和紙の種類の中で一番薄いと言われています。美濃で生まれた後土佐へ渡って発展し、海外にもその名が広まりました。透けるほど薄いのに丈夫な典具帖紙は、アメリカやヨーロッパの美術館で作品の修復に活用されています。和紙の良さは、海外でも高く評価されているんですね。

シックなデザインの「雲竜紙(うんりゅうし)」

雲竜紙は、紙の中に楮の長い繊維を入れて模様を出した和紙です。いろいろな方向に伸びる繊維が、まるで雲や竜のように見えることからこの名前がつきました。個性が光る雲竜紙は、ラッピングや貼り絵に使うといいアクセントに。また、名刺の素材としても人気があります。

海外の柄を取り入れた「更紗紙(さらさし)」

和紙の中でもオリエンタルな雰囲気を持つ更紗紙。インドやインドネシアの染織である「更紗」の模様を、和紙に染めて作られます。日本と海外の文化が合わさった更紗紙は、紙雑貨やインテリアの装飾に使うと異国情緒を感じられますよ。

全国に広がる和紙の産地とその特徴

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ここからは、伝統工芸品として有名な和紙の産地を一覧でご紹介します。それぞれの土地で培われてきた、和紙作りの技術や特徴を見てみましょう。

    和紙の産地
  • 美濃和紙(みのわし)・・・岐阜県美濃市
  • 石州和紙(せきしゅうわし)・・・島根県浜田市
  • 越前和紙(えちぜんわし)・・・福井県越前市
  • 土佐和紙(とさわし)・・・高知県土佐市・いの町
  • 越中和紙(えっちゅうわし)・・・富山県富山市・南砺市・朝日町
  • 因州和紙(いんしゅうわし)・・・鳥取県鳥取市
  • 阿波和紙(あわわし)・・・徳島県吉野川市・三好市・那賀町
  • 大洲和紙(おおずわし)・・・愛媛県西予市・内子町
  • 内山紙(うちやまがみ)・・・長野県飯山市・野沢温泉村・栄村

美濃和紙(みのわし)

美濃和紙は、奈良時代から美濃で作られてきた知名度の高い和紙です。江戸時代には障子紙として一躍有名になりました。2014年には、伝統的な製法で作られた「本美濃紙」が無形文化遺産に登録されています。美濃和紙の特徴は、ムラのない美しさだけではなく柔らかさや耐久性も兼ね備えていること。

画像のように、美濃和紙を使った文具は数多くあります。普段使っている文具の中にも、美濃和紙製品があるかもしれませんね。現代の暮らしに馴染むようアレンジされた美濃和紙は、今も多くの支持を集めています。

石州和紙(せきしゅうわし)

かつて石州と呼ばれていた島根県の西部で生産されている石州和紙。楮を使った「石州半紙」は、無形文化遺産の一つです。石州和紙の魅力は紙の丈夫さ。楮紙は、何度折っても破れないほど耐久性に優れています。また、石州雁皮紙は湿気や虫に強いのが特徴です。

越前和紙(えちぜんわし)

越前和紙は品質の高さが特徴で、江戸時代には「紙の王」とも呼ばれていたそう。藩や政府の紙幣に取り入れられたり、著名な画家が画材として用いたりと、さまざまな場面で活用されてきました。現在では種類が増え、包装紙や書道用紙、賞状用紙などに用いられています。

土佐和紙(とさわし)

多種多様な種類を誇る土佐和紙。中でも薄くて丈夫な「土佐典具帖紙」は、美術品の修復用紙として有名です。他にも、代々受け継がれてきた技術で作る「土佐清帳紙」は、腕時計の文字盤に使われたこともあるんですよ。土佐和紙は、美濃和紙や越前和紙と共に「日本三大和紙」を構成しています。

越中和紙(えっちゅうわし)

八尾、五箇山、蛭谷という3つの産地から生み出される越中和紙。それぞれの産地で個性的な和紙が作られています。楮を雪の上で漂白させる「雪さらし」は、豪雪地帯ならではの作り方。また、「型染め」と呼ばれる方法で作られる八尾和紙は、カラフルでおしゃれな模様が人気です。

因州和紙(いんしゅうわし)

因州和紙は、書道や水墨画などに用いる画仙紙として最も多く生産されています。筆の書き心地が良く、墨も減りにくいという特徴が高く評価されてきました。最近では、「立体漉き」という技術によって作られた美しい照明器具が注目を集めています。

阿波和紙(あわわし)

いろいろな素材を組み合わせて作られる阿波和紙は、水に強いのが特徴。印刷用の和紙や壁紙に使える和紙など、現代のライフスタイルに合った製品が次々と生まれています。また、徳島の名産である藍を使った「藍染和紙」は、吸い込まれるような美しい青色が魅力です。

大洲和紙(おおずわし)

高級な書道用紙として名高い大洲和紙。墨がにじみにくいため、かな文字を美しく書けると評判です。また、年月が経つごとに書きやすく進化していくのも特徴の一つ。薄くムラのない仕上がりは、職人の高い手漉き技術の表れです。

内山紙(うちやまがみ)

楮のみを使って作られる内山紙。長い年月に耐える丈夫さと、通気性や保湿力を備えているのが特徴です。越中和紙と同じく楮を雪にさらすため、白く美しい和紙に仕上がります。製品としては障子紙が有名ですが、他に文具や照明にも使われているんですよ。

いろいろな種類の和紙に触れて、良さを味わおう

和紙の種類や産地を一覧でご紹介しました。和紙についての新たな発見はありましたか?今度和紙を使うときは、何百年と続いてきた歴史や高い技術に思いを馳せてみてくださいね。

和紙で作られた文具をさらに知りたいという方は、こちらの記事もおすすめです。レトロで温かみのある文具を通して、日本の伝統文化を身近に感じられますよ。

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