和紙の素材を活かしたおすすめの文具たち。見て、触れて、歴史を感じて
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日本古来の素材である和紙は、丈夫で独特の風合いを持つところが大きな魅力。長い歴史の中で人々に親しまれ、生活に根ざしてきました。今回は、そんな和紙の素材を纏った文具をご紹介します。目で見て、指先で触れて、日本の伝統文化を学んでみませんか?
和紙ってどんな素材なの?
紙は、私たちの生活において欠かせない存在です。文具の中でも、ノートやメモ帳、便箋など、紙からできたアイテムがたくさんありますよね。紙ものを集めるうちに、筆記具やインクへの興味が湧いてきたという方もいるかもしれません。
今では洋紙が主流となっていますが、日本伝統の紙素材といえば「和紙」が思い浮かぶのではないでしょうか?文字を書くことはもちろん、加工されて多種多様な生活用品としても使われる和紙。その歴史と魅力を探りながら、和紙が身近に感じられる文具たちを見ていきましょう。
和紙の歴史とは
日本の紙づくりの基礎は、中国から伝来したといわれています。そして、中国の知識と技術をもとに「流し漉き(ながしずき)」という日本独自の手法が編み出されました。
- 楮(こうぞ)、雁皮(がんぴ)、三椏(みつまた)などの原材料に粘液を混ぜる
- 簀桁(すけた)と呼ばれる用具で紙料の液全体を揺り動かし、紙の層を作る
- 余った紙料を流し、また液をすくって動かすという作業を繰り返す
流し漉きの手順
流し漉きでは原材料の繊維が絡まりやすくなるので、薄くて丈夫な紙に仕上がります。日本最古の和紙は奈良県の正倉院に伝わる文書で、なんと1300年近くも前に漉かれたものだそう。
和紙の生産地は日本全国に広がっていて、それぞれ色や風合い、使いみちに様々な個性が現れています。中にはユネスコの無形文化遺産に登録された和紙もあるほど、長い歴史と高い技術が注目されている素材なんですよ。越前和紙、美濃和紙、土佐和紙の「日本三大和紙」なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
日本三大和紙
産地 | 特徴 | |
越前和紙 | 福井県 | 美しい生成色 紙の種類が豊富 |
美濃和紙 | 岐阜県 | 漉きむらが少ない 光に通すと白く輝きを増す |
土佐和紙 | 高知県 | 薄くて丈夫 紙の質感が柔らか |
和紙の魅力とは
「洋紙は100年、和紙は1000年」という言葉から、和紙の耐久性がよくわかりますね。丁寧に紙を漉く作業によって、植物の繊維が持つ強さを守り、活かしています。和紙は縦にも横にも破れにくい性質なので、加工しやすいところも魅力のひとつ。傘や提灯などに利用され、人々の生活に寄り添ってきました。
耐久性に優れた和紙は、日常使いする文具との相性もぴったり。どれだけ時が経っても、記憶を色褪せることなく伝え続ける存在です。また、和紙ならではの優しい肌触りは、心をそっと落ち着かせてくれます。和紙に文字を書けば、シンプルな書き言葉にも温もりが宿るかのよう。人の手で紡ぎ出された和紙には、持ち主の思いを包み込む力がありますよ。
和紙で仕立てた文具に触れよう
和紙のルーツは奥深く、まだまだ知らない魅力が隠れていそう。そんな和紙を活かした文具に触れて、日本の伝統や文化に思いを馳せてみませんか?
和紙の手紙に月の光を纏わせて
こちらは、「月光荘画材店(げっこうそうがざいてん)」の和紙製レターセットです。美濃和紙を使うことで、ほんのり透け感のある便箋に仕上がっています。
レターセットは、全部で3色。「しろ」には原稿用紙のようなマス目があしらわれ、手紙を書くたびに文筆家の気分が味わえそう。「ぎんねず」の淡い灰色と囲み枠の洗練されたデザインは、ちょっとしたお礼状にも使えます。また、薄い桃色が印象的な「なでしこ」なら、和紙の風合いと相まって、気持ちがこもった手紙を届けられますよ。
封筒は、紙素材を2重にして丈夫に作られています。また、切手を貼る場所に刻まれているのは、月光荘の店名の由来となった与謝野晶子の短歌。相手を「昼も夜も辺りを照らす月」になぞらえた歌は、大切な人へのメッセージとして和紙に忍ばせたくなりませんか?
和紙の手紙セット
月光荘画材店(げっこうそうがざいてん)
¥605(税込・参考価格)
小箱から溢れるは和紙の彩り
「古川紙工」の「おりがみ小箱」を開けると、美濃和紙の小さな折り紙が表情豊かにこちらを見つめてきます。大柄のチェックや水玉模様、お花のイラストなど、どれもキャッチーなデザインばかり。和紙の柔らかい素材感によって、カラフルな色使いが喧嘩することなく調和しています。1枚ずつ取り出して並べていけば、和紙の博覧会が開催できそうですね。
伝言メモやメッセージカードとして使うなら、折り紙にして手渡すアイデアも素敵です。さらに切り貼りすることで、手帳や日記のデコレーションにも大活躍してくれますよ。12種類の鮮やかなデザインから、とっておきの和紙おりがみを見つけましょう。
おりがみ小箱
古川紙工
¥660(税込・参考価格)
やさしい心を和紙のレターセットに込めて
こちらは、西淑さんがデザインした「cozyca products(コジカ・プロダクツ)」のミニレターセット。薄く透けた美濃和紙が、イラストの優しいタッチを引き立たせています。2種類のデザイン展開は、どちらもノスタルジックな印象です。特に白鳥の泳ぐ便箋は、「テーブルの湖」というネーミングに気取らない遊び心を感じます。
黄色がぱっと目を引く「Playground」の便箋も、和紙素材なら柔和な雰囲気に落ち着きます。また、メッセージを添える時にちょうどいい、小さめの仕様が嬉しいポイント。プレゼントと併せて、あと一言伝えたい、という願いを叶えてくれますよ。
西淑 ミニレターセット
cozyca products(コジカ・プロダクツ)
¥440(税込・参考価格)
和紙を綴じれば箱も出づる
和綴じの伝統技術から生まれたのが、「尚雅堂(しょうがどう)」の「トジハコ」です。尚雅堂は、和紙製品をはじめとして文具や雑貨を取り扱っているブランド。そんな自らの強みを活かして、新しい収納箱を発明しました。美しいモロッコ柄に加え、ドットや雀のデザインにも心惹かれます。長さの異なる3つのサイズから、仕舞いたいアイテムに合ったハコを選びましょう。
なんとこの「トジハコ」は、ワンタッチでコンパクトに畳むことができます。ぺたんこ状態ならかさばらず、持ち運びにもうってつけ。家や職場を飛び出し、外出先で作業したい時にも便利な収納スペースを作れますよ。和の伝統に新しい風を吹き込むアイテムとして、要チェックです。
トジハコ ペン立て
尚雅堂
¥1,760(税込・参考価格)
和紙の文具で日本の伝統に親しもう
和紙は遠い昔から日本人の生活に溶け込み、親しまれてきました。そんなバックボーンがあるからこそ、日常的に使う文具と結びつきやすいのかもしれません。和紙と文具、お互いの魅力を感じながら、手元に日本の伝統文化を呼び込んでみませんか?
こちらの記事では、和風の素材とデザインに心ときめく文具をご紹介しています。文具を通して、伝統文化との距離を縮めていくのも粋ですね。