ビジネスにふさわしい手紙の書き方。思いのこもった気持ちのいい例文をご紹介
会社の上司や取引先のクライアントなどに向けて、手紙を書く機会は多いもの。でも、いったいどんな風に書くのが正しいのか分からない!今回はそんな人におすすめしたい、ビジネスシーンで活躍する手紙の書き方と、目的に合わせた例文をご紹介します。
ビジネスシーンの印象を左右する手紙の書き方マナー
ビジネスの場でお礼の手紙や添え状などの文書を送る機会はたくさんありますよね。会社の上司や取引先の企業の方など、目上の方に手紙を書くのはとても緊張するもの。失礼のないようにしたいけど、心の込もった丁寧な気持ちを伝えたい!そう思う方も多いのではないでしょうか。
今回は、ビジネスシーンで好印象な手紙の書き方として、例文をご紹介。ついつい力んでしまいがちですが、基本を押さえれば意外と簡単。そして何よりも、自分の伝えたい思いを言葉に乗せれば、相手にもその心が伝わります。
少しくらいいびつでも構いません。あなたの心が届くような、言葉選びの参考にしてみてください。
ビジネスにおける手紙の書き方マナー
まずは、基本的な手紙の書き方をご紹介。ビジネス以外で手紙を書くときも役立つマナーなので、覚えておいて損はありません。
ビジネスにおける手紙は「縦書き」を選ぶのがマスト
目上の方や取引先の方などへ手紙を送るときは、「縦書き」の便箋を選ぶのが手紙の書き方のマナー。正式で改まった形の手紙になり、受け取る相手にもきちんとした印象が伝わります。ちなみに、友人や家族など親しい仲の相手には、カジュアルでフランクな横書きの便箋を選ぶのがおすすめですよ。
前文
前文は、手紙の冒頭にくる挨拶文のこと。「拝啓」や「謹啓」といった"頭語"から始まり、季節の言葉を交えた"時候の挨拶"、そして相手の繁栄や近況をうかがう言葉を順に続けましょう。手紙の第一印象を左右する大切な部分なので、丁寧に言葉を選びながら書いてくださいね。
主文
主文は、手紙を送ったメインの内容を伝える本文を指します。「さて」「この度」といった要件の始まりを意味する"主文の起語"から書き始めて、手紙の目的を分かりやすく簡潔にまとめましょう。手紙の内容が複雑になってしまうので、1通の手紙で伝える要件は1つに絞るのがマナーです。
末文
末文は、本文の内容を受けて結びに入るまでの文章のこと。今後の指導を願う言葉や相手の発展を祈る言葉、伝えたい内容はこれで終わりであると要件を結ぶ言葉を順に続けます。そして最後は、「敬具」や「拝具」といった"結語"で締めくくるのが正式な手紙の書き方です。
後付
後付は手紙の最後に書くもので、「日付」「差出人の名前」「宛名」で構成されています。日付は、宛名よりも2文字分ほど下げて書くのがマナーです。差出人の名前では自分の会社名とフルネームを、宛名には相手の会社名と「社長」や「課長」といった役職名を付け、フルネームを書きましょう。
ビジネスマナーを押さえた手紙の書き方
ビジネスシーンというと、フォーマルさを意識することで、文章が少し固くなりがち。柔らかく、心をほぐすような例文を集めたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
一般的な手紙の書き方
まずは、タイミングを問わず活用できる一般的な手紙の書き方の例文からご紹介。無理に難しい言葉を使おうとせず、肩の力をできるかぎり抜いて書いてみることをおすすめします。その方が、ビジネスシーンで好印象を持たれる素敵な手紙を書けますよ。
取引先への手紙の書き出し
- 貴社ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。
- 平素よりお力添えいただき、誠にありがとうございます。
例文
普段お世話になっている、取引先企業に宛てる手紙の書き出しに使える例文です。相手の会社や商売が栄えていることを引き立てる言い回しで、少しかしこまった表現ですが、ビジネスシーンでは広く活用できるので覚えておくと便利です。
時候の挨拶
- うららかな春の日差しが心地よい季節となりましたね。◯◯様はお変わりございませんか。
- 厳しい暑さが続いておりますが、いかがお過ごしですか。
- 木々の梢も色づいてきましたが、◯◯様はお元気でしょうか。
- 今年も雪が降る季節となりました。○○様におかれましては、いかがお過ごしでしょうか。
例文
そのときの季節柄を綴る時候の挨拶を交えた、手紙の書き方の例文です。季節の様子を一言添えるだけで、ビジネスの手紙でも柔らかく寄り添ってくれるような印象になります。また、時候の挨拶は、少し先の季節に触れるのがマナー。どんな言葉を添えるのか、下記を参考にしてみてくださいね。
- 【1月】
- 新春の候、ますますご繁栄のこととお喜びいたします。
- 寒の入りとともに寒さがつのりますが、◯◯様にはお元気でご活躍のこととお喜び申し上げます。
- 【2月】
- 早咲きの梅に心浮き立つこのごろ、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
- 余寒ことのほか厳しい今日このごろ、皆様にはいよいよご清祥の由、心からお喜び申し上げます。
- 【3月】
- 桃の節句も過ぎ、風にも日差しにも春らしさの感じられるころとなりました。
- 晴れ渡った弥生の空に、ひばりのさえずりが聞かれるころとなりました。
- 【4月】
- 桜花爛漫の好季節を迎え、うるわしい春の日がやってまいりました。
- 桜もいつしか盛りを過ぎましたが、お健やかにお過ごしのこととお喜び申し上げます。
- 【5月】
- 風薫る5月を迎え、ますますご壮健のこととお喜び申し上げます。
- 初夏を思わせる日差しがまぶしい季節になりました。◯◯様にはますますお元気でご活躍のこととお喜び申し上げます。
- 【6月】
- 五月雨に濡れ、木々の緑もいっそう色濃くなってまいりました。
- 夏至を過ぎ、梅雨明けも近づくころとなりましが、いかがお過ごしでしょうか。
- 【7月】
- 梅雨明けのみぎり、◯◯様には、ご機嫌うるわしくお暮しのことと存じます。
- 夕立後の風が心地よく感じられるこのごろ、ご平安にお暮らしのことと存じます。
- 【8月】
- 猛暑到来となりましたが、夏バテなどされていらっしゃいませんでしょうか。
- 虫の音にようやく秋の気配が感じられるようになってきました。
- 【9月】
- 空一面のイワシ雲が秋の到来を告げております。
- 暦の上では秋分も過ぎ、少しずつ日暮れが早くなってきたようです。
- 【10月】
- 心地よい秋晴れの日が続くこのごろ、お元気でお過ごしのことと存じます。
- 秋冷日増しに厳しくなるこのごろですが、お健やかにお過ごしでしょうか。
- 【11月】
- いちょうの葉が木枯らしに舞う季節となりましたが、ご機嫌いかがでしょうか。
- 師走も近づき、冬支度にお忙しい時季かと存じますが、お変わりありませんでしょうか。
- 【12月】
- 今年も押し迫り、とりわけご多忙のことと拝察いたします。
- 師走の空に小雪の舞う日も増えてまいりましたが、皆様にはご健勝のことと存じます。
時候の挨拶 例文
添え状
- ○○の書類をお送りいたします。お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
- ぜひ同封した履歴書をご確認いただき、面接の機会をいただけますと幸いです。ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
- ご多用のところ恐れ入りますが、ご査収のほどよろしくお願いいたします。
例文
こちらは、添え状の書き方としておすすめの表現です。添え状は、履歴書などビジネスにおける書類を送るときに添える手紙のこと。どのような書類を同封しているか書いておくことで、受け取る相手に分かりやすく伝えられます。
お世話になっている方に送る手紙の書き方
会社の上司や先輩、クライアントなど日頃お世話になっている方への手紙は、適度な親しみを意識してみましょう。特に長いお付き合いであれば、ビジネスという世界での関係性であっても、心の通った間柄になってきますよね。
手紙の書き方や便箋の使い方などの基本的なマナーは守りつつ、あまりかしこまりすぎずに書いてみましょう。あなたならではの言葉が並べば、相手の方も思わず心が癒やされるはず。
お世話になった方への手紙の書き出し
- ○○様が退職されてもう1年が過ぎましたね。体調はお変わりないでしょうか。
- もう随分とご無沙汰しておりますが、お元気でしょうか。
- ◯◯様におかれましては、ますますご清祥のことと存じます。
例文
以前お世話になっていたけれど最近は会っていない、といった相手に送る手紙の書き方にぴったりの例文です。お世話になったお礼と一緒に、相手の体調や安否を気づかう言葉を綴ってみて。「自分のことを思ってくれている」ことがしっかりと伝わる手紙になりますよ。
締めの一言
- 誠心誠意励んでまいりますので、これからも温かく見守っていただけると嬉しいです。
- 今後とも変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。またぜひお食事をご一緒させてくださいね。
- これからもお体を大切に、新たな出発が実り多きものとなりますよう祈っています。
- 私も◯◯さんのように、気配りのできる女性になれるよう頑張ります。
例文
お世話になっていることへ感謝を綴るのは、自分を支えてくれる先輩や上司に送る手紙の書き方としておすすめです。ビジネスの場ならではのかしこまった印象がありながら、手紙を受け取る相手の顔がフッとほころぶ。そんな温もりあふれる手紙を目指してみて。
イベント後のお礼
- 先日はお忙しい中研修をしていただき、ありがとうございます。○○様のお話しを聞く中で、改めて貴社のお役に立ちたいと思うことができました。
- なかなか機会のないプライベートの話もでき、非常に貴重な時間を過ごすことができました。また、お目にかかれますことを願っております。
例文
ビジネスにおける研修や講習でお世話になった方に手紙を送るときは、始めにお礼の言葉を伝えるのがマスト。相手の方の話を聞けたおかげでより魅力を感じた、と熱心な思いを続けてみましょう。自分が感じた気持ちをストレートに表せば、相手にもきっと伝わるはずです。
お礼状の書き方
ビジネスシーンで送るお礼状は、「まわりくどくないようにお礼や感謝の気持ちを表現すること」を意識して書くのがおすすめです。ビジネスの場ならではの正式な雰囲気を保ちつつ、自分の思いをまっすぐ伝えられるような、とっておきの手紙の書き方をご紹介します。
長らくお世話になった方へのお礼
- 長い間、大変お世話になりました。私が入社して以来、○○様にはいつも優しくサポートをしていただきとても感謝しております。
- 在職中はなにかと気にかけてくださり、多くのことを教えていただいたことに、感謝してもしきれません。
- ○○様という素敵な指導者に巡り会え、深い感謝の気持ちでいっぱいです。これからも、○○様から教わった言葉を忘れる事なく、精一杯頑張っていきたいと思っております。
例文
こちらは、ビジネスの場でお世話になったへお礼を伝える手紙の書き方。「自分は支えてもらった」「そのサポートが励みになって頑張ってこられた」といった感謝の思いをストレートに手紙にしたためて、退職する上司や先輩に向けて送る手紙に添えてみてはいかがでしょうか。
フォローをもらったことへのお礼
- 部長の的確なアドバイスをいただき、大きな問題には発展しませんでした。 また、ミスをした私に対するお心遣いも大変嬉しく思います。
- お客様からのクレームもたくさん頂戴し、ご迷惑ばかりおかけしましたが、そんな時でもサポートして頂き、ありがとうございました、
例文
自分のミスを先輩や上司がカバーしてくれたときは、こんな風にお礼状を書いてみて。自分自身のミスを認めて、指導していただいたことへ感謝の言葉を綴りましょう。
取引先の対応へのお礼
- この度は急なご依頼をお引き受けくださり、ありがとうございます。迅速なご対応を感謝申し上げます。
- 予想を大きく超える参加者数にもかかわらず、迅速なご対応をしていただき、感謝しております。
例文
こちらは、取引先のクライアント宛てにお礼状として送る手紙の書き方例文。急遽お願いした業務を快く引き受けてくれたこと、その仕事に対して素早く対応してくれたことに、感謝の気持ちを伝えましょう。一筆箋など、要件をコンパクトに伝える便箋を使うときにもうってつけです。
お詫びの思いを伝える手紙の書き方
ビジネスの場でお詫びを目的とした手紙を書くときには、時候の挨拶などは省略し、「謝罪」の一文から始めるのがマスト。お詫びの手紙は、ビジネスシーンにおける今後の自分の印象を左右する大切な手紙です。
こちらはかなりかしこまった例文にはなりますが、きちんとお詫びをして、誠意を伝えることが大切です。
自分のミスに対するお詫び
- この度は私の力不足によりご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。今後このようなことが起こらないよう、再発防止に努めてまいります。
- このたびは、◯◯の件でご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。どうか今後とも変わらぬご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
例文
こちらは、自分がしてしまったミスに対してお詫びをするときの手紙の書き方例文。相手に迷惑を掛けてしまったことへ、誠心誠意謝罪の気持ちを伝えましょう。「今後はミスを重ねません!」という今後の決心も忘れずに添えて。
サービスの不具合に対するお詫び
- 先日は○○の件で、大変ご不便をお掛けいたしました。現在も復旧のめどが立っていないことを、心よりお詫び申し上げます。
- この度は、当社サービスの一部に不具合が発生し、 多くの皆様にご迷惑をお掛け致しましたこと、 深くお詫び申し上げます。
例文
ビジネスの場では、自分のミスでなくてもお詫びをしなければならない場面があります。会社の都合やシステムの影響などですぐに解消できる問題ではなかったとしても、相手の立場に立って「今できることは何か?」を考えてみて。
イベント欠席に対するお詫び
- この度はせっかくのご機会を頂きましたのに、イベントへ出席できず申し訳ございません。
- せっかくのお誘いにもかかわらず大変申し訳ないのですが、当日は当社社用により欠席させていただきます。 次回はぜひ参加させていただきたいと思っております。
例文
招待されたビジネスイベントへ出席できないことをお詫びする例文です。「都合が合わなくて申し訳ない」という気持ちを1番に伝えてください。招いてくれた相手への感謝の気持ちや、もし次機会があれば参加したい、といった今後の思いもを綴るのも忘れずに。
気持ちのいい手紙の書き方であたたかい関係を築こう
ビジネスシーンで送る手紙の書き方のマナーを解説しました。「ビジネスシーン」だからと言ってあまりにもかしこまりすぎると、堅苦しく読みづらい手紙になってしまいます。お礼状や添え状などどのような手紙を書く場合も、まずは肩の力を抜いて深呼吸を。
しっかりリラックスできたら、「自分が一番伝えたい思いは何か?」を頭の中で整理してみて。書きたいことが決まってから、ゆっくりと手紙を書き出してみてください。こうすることで、受け取った相手に書き手のまっすぐな思いを届けられます。
基本的な手紙の書き方のルールさえ守っていれば、自然とビジネスの場にふさわしい手紙になりますよ。今回ご紹介した手紙の書き方マナーや目的別の例文を参考にして、ビジネスシーンで好印象を持たれるような、素敵な手紙を送ってみませんか。