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手紙にも使える【梅雨】の季語一覧。日本ならではの美しい表現に触れよう

雨が続いてアンニュイな気分になりがちな梅雨。しかし、手紙や俳句に使われる梅雨の季語には、梅雨ならではの魅力や美しい情景が秘められているんです。そこで今回は、手紙にも使える梅雨の季語をご紹介。季語に触れながら、梅雨の良さを再発見してみてください。

美しい日本の言葉から季節を感じて。季語の魅力とは?

麗らかな春の日に儚く散りゆく桜、秋を鮮やかに彩る紅葉の錦など…その季節ならではの情景や瞬間がカタチとなった言葉「季語」。日本人は古くから、俳句・手紙を通して季節の変化を楽しみ、大切な人と共有してきた歴史があります。

季語は、そんな俳句や手紙において特定の季節を表し、相手に伝える大切な言葉です。文章に添えられた季語から、その季節ならではのシーンを想像すれば、俳句や手紙を書いた相手と同じ情景を見ているような気分になれるでしょう。

【時候編】美しい梅雨の季語一覧

入梅(にゅうばい)

「入梅(にゅうばい)」は、梅雨入りの日を指す季語。古くは芒種(6月6日頃)の後の最初の壬(みずのえ)の日が「入梅」と言われていたようですが、現代では具体的な規定がありません。これから本格的に梅雨が訪れる…そんな時の手紙・俳句に使いたい季語ですね。

夏至(げし)

「夏至(げし)」は、太陽が最も高い位置にあり、一年で最も昼が長い時期を指す季語です。また、各季節の指標となる言葉・二十四節気の1つでもあります。「夏」という言葉が入っていることから、カラリとした暑さのイメージを持つかもしれませんね。

しかし、実際の夏至は6月21日・22日頃と梅雨シーズン真っ只中。「夏に至る」と書くように、これから本格的な夏が訪れる兆しといえるでしょう。梅雨の終わり頃に書く手紙に用いる、時候の挨拶にぴったりな言葉ですよ。

梅雨(つゆ)

「梅雨(つゆ)」は、6月頃の降り続く長雨の時期を意味する季語です。6月に送る時候の挨拶の定番といえる言葉であり、一般的には6月の中旬~下旬頃を指します。元々は中国で生まれた言葉であり、紅梅の実が熟す頃に降る雨という意味で「梅雨(ばいう)」と呼んでいた説があります。

尚、日本で「つゆ」と読むようになった由来については、「露(つゆ)」から連想した説、梅の実が熟して潰れる時期だから「潰ゆ(ついゆ)」という言葉と関連させた説など、諸説あります。

梅雨冷(つゆびえ)

「梅雨冷(つゆびえ)」は、梅雨の時期にふと訪れる寒さを表した季語。梅雨時期になると、晴れの日は蒸し暑いですが、雨が降ると寒くなりがちですよね。

この気温差によって、梅雨冷えが起こるとされています。梅雨冷えが起こる時期は体調を崩しやすいので、6月の手紙には大切な人の体調を気遣う文章を取り入れると良いでしょう。

梅雨明け(つゆあけ)

「梅雨明け(つゆあけ)」は、梅雨の終わりを表す言葉であり、晩夏を代表する季語の1つです。梅雨明けの日は梅雨入りから30日後という説がありますが、いつになるかは地域によって異なります。

梅雨が明けたら本格的な夏の到来!6月の手紙に「梅雨明け」の言葉を添えれば、夏が待ち遠しくなることでしょう。

【天文編】手紙や俳句に使いたくなる。美しい梅雨の季語一覧

五月晴れ(さつきばれ)

雨が長く続く中、ふと現れる晴れ間を意味する「五月晴れ(さつきばれ)」。初夏の季語にも用いられる「五月」という言葉が入っていることから、「五月の晴れの日」というイメージを持つ方もいるのではないでしょうか。

しかし、ここで言う五月は旧暦であり、現在の6月を指します。そのため、「五月」と書いていても、梅雨の時期の季語に分類されているんです。6月の手紙に添えれば、梅雨明けがもっと待ち遠しくなりそうですね。

黒南風(くろはえ)

黒南風(くろはえ)は、梅雨の時期に吹く湿った風を指す季語です。梅雨の時期の人々が抱える憂鬱な気持ちを、梅雨の長雨やぐずついた空模様に重ねて、その時期の南風を「黒」と表したといわれています。天気が悪くて外に遊びに行けない…そんなもどかしい気持ちを手紙に表したい時にぴったりな言葉です。

梅雨の月(つゆのつき)

「梅雨の月(つゆのつき)」とは、梅雨の夜に見える月を表す季語です。梅雨は土砂降りになったり、晴れ間が訪れたりと天候が不安定な時期。そんな梅雨の時期に見える月は、時には雲に覆われてぼんやりと輝き、またある時には、雲の切れ間から優しい光をのぞかせるときもあります。

梅雨の時期に夜空を見上げてみると、その日の天候によってさまざまな月の表情が楽しめますよ。梅雨の時期の俳句や手紙をロマンチックに演出してくれる、天文に関する季語です。

梅雨の星(つゆのほし)

梅雨の月と同じく、梅雨の時期の天文を表現した季語の1つが「梅雨の星(つゆのほし)」です。こちらは、梅雨の時期の晴れ間から見える星を表しています。雨雲に覆われがちな梅雨の夜空に見える星々は、人々の心を明るく照らしてくれるはず。雨が多くて憂鬱になりがちな、6月の手紙にぴったりですね。

送り梅雨(おくりつゆ)

梅雨の終わり頃に使われる季語の1つが「送り梅雨(おくりつゆ)」です。梅雨が明ける頃の、大雨や雷鳴を伴う雨を意味します。梅雨の終わり頃に起こることから、「梅雨を見送る雨」という意味が込められているといわれています。

【植物・動物編】美しい梅雨の季語一覧

雨蛙(あまがえる)

雨の日を代表する動物「雨蛙(あまがえる)」も、実は梅雨の季語。雨蛙は、雨が近づいた時には「雨鳴き」と呼ばれる鳴き方をするという俗言もあります。

雨蛙の啼き声から、人々は雨や梅雨の訪れをしみじみと感じていたのでしょう。ちなみに同じカエルでも「蛙(かわず)」は春の季語として用いられるので、季節によって使い分けるよう注意しましょう。

蝸牛(かたつむり)

雨蛙とともに、梅雨を代表する動物の1つが「蝸牛(かたつむり)」です。湿気を好むことから、雨が多い梅雨になると花壇やコンクリートなどで活発に活動しています。

ちなみに「蝸牛」と聞くと、紫陽花の葉の上にいる姿が梅雨の風物詩として有名ですが、紫陽花の葉は有毒であり、蝸牛が食べているわけではないのだそう。梅雨入りから梅雨明けまでの間、いつでも使える季語です。

紫陽花(あじさい)

6月上旬から見ごろを迎える「紫陽花(あじさい)」も、梅雨を代表する素敵な季語です。水色や赤、紫など、さまざまな色で梅雨の時期を彩ってくれます。その美しさ故か、松尾芭蕉や正岡子規などの有名な俳人の俳句にも詠まれていますよ。

濁り鮒(にごりふな)

「濁り鮒」は、鮒が産卵する様子を指した梅雨の季語です。梅雨時期の川は雨によって水が濁っていることが多いですが、鮒たちは川をさかのぼるようにして産卵します。辛抱強い鮒の姿は、梅雨時期に出かけたいのをグッと我慢する人々の心を表現するのにぴったりですね。

【暮らし編】手紙や俳句に使いたくなる。美しい梅雨の季語一覧

田植え(たうえ)

人々の食生活を担う大切な作業「田植え(たうえ)」も、実は梅雨の季語なんです。地域によって具体的な時期は異なりますが、田植えは5~6月頃に行うのが一般的です。この時期が梅雨と重なるため、梅雨の季語として分類されています。

雨休み(あめやすみ)

「雨休み(あめやすみ)」は、雨で農作業を休みにすることを表した季語です。日照りが続いた後に降る雨は「恵みの雨」とされ、皆で休みを取ってお酒を片手にお祝いをしたのだそう。昔の人々の暮らしが垣間見える、素敵な季語ですね。

夏合羽(なつがっぱ)

「夏合羽(なつがっぱ)」は、夏の雨の日に着用する、単衣の合羽を意味する季語です。今でこそレインコートは誰もが着用するものですが、昔は裕福な町人・武士の従士のみが着用していた時期があったのだそう。梅雨ならではの装いなので、6月の手紙の挨拶にぴったりですよ。

蒼朮を焼く(そうじゅつをやく)

主に俳句で使われる「蒼朮を焼く(そうじゅつをやく)」という言葉は、梅雨の時期に部屋の湿気を払うために、薬用植物を焼く様子を表した季語です。雨が多い梅雨の時期は、湿気でお部屋がジメジメしますよね。昔の人も同じ悩みを抱えていたようで、蒼朮(=オケラ)という植物を焚くことで、カビの発生を防いでいたようです。

神水(しんすい)

「神水(しんすい)」は、旧暦5月5日の午の刻に雨が降った時、竹の節に溜まる水を指す季語。この日は薬日と呼ばれており、竹の節に溜まった水で薬を作ると、効き目が良くなるという俗言があったようです。主に俳句で使われています。

多彩な季語を通して、梅雨の美しい情景に触れてみませんか?

雨の日が多く、憂鬱な気分になりやすい梅雨。マイナスなイメージを持たれがちですが、季語を通してみてみると、梅雨の時期ならではの美しい景色・暮らし方が垣間見えてくることでしょう。ぜひ梅雨の季語を通して、梅雨の魅力に触れてみませんか?

西野由樹
西野由樹

梅雨の時期は思うように出かけられず、お家で過ごす時間が長くなりがち。そんな時はぜひ、雨や水をモチーフとした素敵な文具を取り入れて気分転換してみませんか?以下の記事も併せてチェックしてみてくださいね。

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