水彩画におすすめの水彩紙をご紹介。画用紙との違いと絵具や書き方によっての選び方
紙色に紙質、厚さに綴じ方など多くの種類が展開されている「水彩紙」。目的に合わせて選ぶことで、水彩画の完成度がぐっと高まりますよ。この記事では、画用紙との違いや水彩紙の選び方について解説します。おすすめの水彩紙もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
水彩画を始めたい初心者にこそ「水彩紙」がおすすめ
ウォッシュやぼかしなど、数々のテクニックを用いて表現する水彩画。あらゆる紙に着色できますが、初心者の方にこそおすすめしたいのが「水彩紙」を使うことです。水彩紙なら、上手に水分量をコントロールしてくれるので、着色しやすく紙のたわみも気になりませんよ。
この記事では、そんな水彩紙の選び方とおすすめのアイテムをご紹介します。数ある水彩紙のなかから、理想的な種類を見つけてみましょう。
画用紙との違いって?
ほかの紙類と比べて紙面がでこぼこしている画用紙は、水を吸収しやすい傾向にあります。しかし、場合によっては水分を吸いすぎてしまったり、着色した色がまだらになってしまったりと思うように描けないことも。
一方、水彩紙は画用紙と違い、表面に滲み防止のための「サイジング」加工をほどこしています。そのため、水分量の浸透をコントロールでき、水彩特有の描画方法を綺麗に表現できるんです。
水彩画の魅力を引き立てる水彩紙の選び方
水彩画の完成度を左右する紙質。ここでは、水彩紙選びにおける5つのポイントを見ていきましょう。
色
水彩紙には、青みの強い白からクリーム寄りの白まで幅広い「白」のバリエーションがあります。ぱきっとした色味でコントラストを付けるなら真っ白な紙を、ナチュラルで温かみのある仕上がりを目指すならオフホワイトやクリーム色の紙がおすすめです。
紙目
水彩画の仕上がりや筆記具との相性に影響する「紙目」の種類は、大きく以下の3つに分けられます。
- 荒目(ラフ)
- 中目(コールドプレス)
- 細目(ホットプレス)
紙目の種類
表面の凸凹が目立つ「荒目」は、グラデーションや奥行きを楽しむ水彩画におすすめ。くぼみに液が溜まりやすいので、絵具の発色も楽しめるでしょう。
ツルっとした肌ざわりの「細目」はペン画との相性がよく、繊細なタッチにも適しています。ただし、絵具の乾きが早いためグラデーションには向いていない側面も。
「荒目」と「細目」のちょうど中間の質感にあたるのが「中目」です。メーカーごとの展開も豊富で、定番のタイプ。技法による向き不向きが少ないため、初心者にもおすすめですよ。
厚さ
「厚さ」は「g」や「g/m2」で記されており、数字が大きくなるほど厚みが増していきます。一般的な厚さは150~300g。水分を多く使う場合は、厚みがあり紙がたわみにくい300gがおすすめです。
綴じ方
綴じ方のバリエーションもメーカーそれぞれですが、ここでは展開の多い以下4タイプをご紹介します。
- スプリングタイプ(スケッチブックタイプ)
- ブロックタイプ
- パッドタイプ
- カットタイプ
綴じ方の種類
「スプリングタイプ」とは、一辺がリングで綴じられたノート型。気軽に持ち運べるうえに折り返して使えるので、屋外での描画にも向いています。
「ブロックタイプ」は四辺が糊で固められているので、水張りする手間がいりません。完成した紙をペーパーナイフで剥がす仕様です。より手軽に使いたいなら、一辺だけが糊付けされた「パッドタイプ」がおすすめ。素手で剥がしやすく、持ち運びにもぴったりですよ。
「カットタイプ」は1枚ずつが切り離された状態で収容されているもの。はがきサイズやA4サイズなど、サイズ展開が幅広いのも特徴です。
原材料
水分を程よく吸収する「コットンパルプ」は、水彩紙のなかでも高級ライン。多くの技法に対応しており、完成度の高い水彩画を描けるので作品用として持っておくのも◎。
一方「ウッドパルプ」は、安価に入手しやすく練習を繰り返したい方にもおすすめのタイプです。コットンパルプに比べると乾きが遅いため、重ね塗りには不向きな点も。目的と価格を考慮して選ぶとよいでしょう。
水彩画がもっと楽しくなる!おすすめの水彩紙
さまざまな場面に応じたおすすめの水彩紙を厳選しました。サイズや色、紙目を比べながらお気に入りを見つけてみて。
持ち運んでどこでもスケッチ。「Arrtx」正方形の水彩紙
こちらは、18cm×18cmの正方形が特徴の「Arrtx」の水彩紙。コンパクトさが持ち歩きに便利で、外で水彩画を描きたい人のよきパートナーに。手軽に切り離せるパッドタイプもうれしいポイントです。
240gの厚口紙なので透明水彩絵具はもちろん、ガッシュやマーカーを使った作品作りにも適しています。表面さえ乾けば両面使用もできるため、数をこなしたい初心者さんにもおすすめですよ。
多目的画用紙(18×18cm)
Arrtx
¥1,229(税込・参考価格)
気軽に使えるカットタイプは練習用にも。「artgear」A4サイズの水彩紙
こちらは、馴染みのあるA4サイズが使いやすい「artgear」の水彩紙セット。デスク上でも扱いやすい大きさなので、これから水彩画を始めたい方の最初の一歩におすすめのアイテムです。
切って加工するなど、ペーパーアイテムを手作りするときにも丁度よいサイズ感。全8種のラインナップのほか、10種の紙がセットになったアソートパック(10枚入り)も展開されているので、いろいろな紙質を試したい方はぜひチェックしてみて。
未来のための水彩紙(A4)
artgear
¥1,650(税込・参考価格)
色の濃淡を楽しめるラフな紙質が魅力。「オリオン」のシリウス水彩紙
風景画やダイナミックな作品を描きたい方には、こちらの水彩紙がおすすめ。452×379mmのF8サイズは、伸び伸びとした水彩画を楽しむのに十分なサイズ感です。いつ、どこででも絵描きを始められるスプリングタイプも魅力的ですね。
紙質は、見た目からも表面の凹凸が感じ取れるラフ(荒目)仕様。紙面を流れる絵具の濃淡を楽しめるのが、荒目の魅力です。紙色には絵具の色彩を邪魔せず、やわらかな印象に仕上がるナチュラルホワイトが採用されています。
シリウス水彩画紙(F8)
オリオン
¥2,420(税込・参考価格)
見開きいっぱいにイメージを膨らませて。「Ohuhu」ブロックタイプの水彩紙
続いてご紹介するのは「Ohuhu」ブロックタイプの水彩紙。ふと思い立ったときに手に取りやすい、程よいサイズ感がおすすめポイントです。見開きで使えば、2枚分の広さを確保できますよ。
初心者にうれしい中目の紙質は、多くの描画スタイルを受け入れてくれる安心感が魅力的。「Ohuhu」では、こちらのアイテムと相性抜群な水彩絵具も展開しているので、併せてチェックしてみてくださいね。
水彩画用紙 2冊セット(229mmx305mm)
Ohuhu
¥4,690(税込・参考価格)
季節の移ろいを届ける水彩の絵手紙はいかが?「クレールフォンテーヌ」の水彩紙
最後にご紹介するのは、絵手紙にもぴったりなはがきサイズの水彩紙。こちらは150年以上の歴史を誇る「クレールフォンテーヌ」社の人気の画材シリーズを、ミニサイズにアレンジしたものです。
3種類の紙目だけでなく、ベージュやグリーンなど珍しいカラー展開も気になるところ。紙色で変わる絵具の発色や、紙目で異なる仕上がりの違いを思う存分楽しめるでしょう。絵手紙や練習用など、日常のなかで気軽に水彩画に触れられるのも、はがきサイズならではです。
水彩紙(絵はがきサイズ)/FINE ARTS
クレールフォンテーヌ
¥605(税込・参考価格)
用途に合った紙選びで水彩画の魅力をめいっぱい味わって
いくつものテクニックを織り交ぜて描き上げる水彩画は、専用の紙を使うことで、よりその魅力を引き立てられます。イメージどおりの作品に仕上げるのなら、色や質感など用途に応じた紙選びにもこだわってみて。
本記事を参考に水彩紙選びのポイントを掴んで、魅力あふれる水彩の時間を楽しんでいきましょう。
これから水彩画を始める方は、以下の記事も要チェック。まず揃えておきたい道具と選び方を詳しく解説していますよ。