日本に根付いた「大和言葉」の魅力。たおやかな表現を手紙に取り入れてみよう
目上の方に宛てて、丁寧かつ親しみのある手紙を書きたいと思ったら「大和言葉」を使ってみてはいかがでしょうか。大和言葉には日本の風土の中で育まれた、美しい表現がたくさんあります。この記事で、大和言葉の魅力や使い方を学んでみませんか?
日本古来の「大和言葉」を手紙に使ってみませんか?
皆さんは手紙を書くとき、どのようなことを意識していますか?気心の知れた友人への手紙は気軽に書けますが、ビジネスシーンや目上の方に宛てた手紙はマナーをしっかり守りたいもの。相手に失礼のないよう、言葉選びにも気を配りますよね。
でも「丁寧に書かなきゃ!」と意識するあまり、全体的に堅苦しい文章になってしまうことも。そこで活用できるのが、今回ご紹介する「大和言葉」です。
大和言葉とは、日本に昔から根付いている固有語のこと。外国から入ってきた「漢語」や「外来語」とは異なる、やさしい響きが魅力的な言葉です。以下は大和言葉の一例ですが、漢語と比べると印象がだいぶ違いますよね。
大和言葉と漢語の違い(一例)
大和言葉 |
漢語 |
ありがとう |
感謝 |
始める |
開始 |
敬う |
尊敬 |
思いのほか |
意外・案外 |
力添え |
援助 |
フォーマルな手紙にはカチッとした印象の漢語を使うことが多いですが、大和言葉を取り入れると上品で柔らかな文章になりますよ。今回の記事では、大和言葉の中から手紙に使える表現をご紹介します。文章の一部を大和言葉に変えて、相手の心に優しく届く手紙を書いてみましょう。
手紙に含めたい大和言葉の種類と文例
大和言葉には日本人の感性に響くフレーズや、情景が思い浮かぶ表現がたくさんあります。手紙の書き出し、本文、結びに含められる大和言葉を一覧でご覧ください。
書き出しに使える大和言葉
手紙の書き出しでは、季節の移ろいを上手に表す言葉を綴りたいもの。「~の候」といった漢語調の挨拶は少し硬いと感じたら、大和言葉を使った口語調の挨拶で書き始めてみてください。自然の美しさを感じる言葉に、読み手はぐっと引き込まれるはずです。
時候の挨拶に適した大和言葉
大和言葉 |
意味 |
文例 |
花冷え(はなびえ)・・・3月下旬~4月上旬 |
桜が咲く頃に寒さが戻る |
満開の桜も凍えるような花冷えが続いていますが、体調など崩されていませんか。 |
蝉時雨(せみしぐれ)・・・7月~8月 |
一斉に鳴く蝉の声が時雨のように聞こえる |
夏本番の暑さが続き、蝉時雨が降り注ぐ時季となりました。 |
木枯らし(こがらし)・・・11月 |
晩秋から初冬にかけて吹く強い風 |
冬の訪れを知らせる木枯らしが吹く頃となりました。 |
冬化粧(ふゆげしょう)・・・11月~12月 |
雪が降り積もって冬らしい景色になる |
辺り一面冬化粧となり、厳しい寒さが続いていますがいかがお過ごしでしょうか。 |
健やか(すこやか) |
健康・元気 |
寒暖差の激しい日々が続きますが、お健やかにお過ごしでしょうか。 |
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本文に使える大和言葉
大和言葉には、心の動きを繊細に表現する言葉がいくつもあります。手紙の内容に合った大和言葉を用いて、自分の気持ちを上手に伝えられるといいですね。
大和言葉 |
意味 |
文例 |
心にかける |
気持ちを向けていつも配慮する |
お心にかけていただき、ありがとうございます。 |
心ばかり |
わずかに心の一部を表したもの・ほんの気持ち |
心ばかりですが、お祝いの品をお贈りいたします。 |
ひととき |
しばらくの間・一時的な短い時間 |
久しぶりに〇〇さんとお会いして、楽しいひとときを過ごすことができました。
|
胸を打たれる |
感動する |
先日の〇〇さんのスピーチに胸を打たれました。 |
胸を撫で下ろす |
安心する |
無事に退院されたとお聞きして、胸を撫で下ろしております。 |
この上ない |
最高 |
〇〇さんの晴れ姿を見ることができるのは、この上ない幸せです。
|
いたく |
非常に |
娘は〇〇さんから頂いたボールペンをいたく気に入っております。 |
ひとえに |
理由や原因が一つだけであること |
今回のプロジェクトが成功したのは、ひとえに〇〇様のお力添えのおかげです。 |
結びに使える大和言葉
手紙の結びは決まりきった文章になりがちですが、大和言葉を含めると新鮮な一文が書けますよ。相手との関係が深まる親切な言葉で、手紙を締めくくりましょう。
大和言葉 |
意味 |
文例 |
お目にかかる |
お会いする |
またお目にかかれるのを楽しみにしております。 |
心待ちにする |
期待して待っている |
イベントに参加できる日を心待ちにしております。 |
いずれ |
いつか |
いずれお会いした際は、ゆっくりお話できたらうれしいです。 |
折から |
ちょうどそのとき |
暑さ厳しい折から、体調を崩されませんようご自愛ください。 |
日本ならではの美を感じられる文具
ここからは手紙を書くときに使いたい、和の雰囲気をまとったアイテムを2つご紹介します。大和言葉の美しさを引き立てる文具で手紙を書いてみませんか?
和紙の風合いとやさしい絵柄に癒やされる一筆箋
まずご紹介するのは、イラストレーターの浅野みどりさんが手がけたこちらの一筆箋。美濃和紙の風合いと、上品な色使いに日本らしさを感じます。一筆箋はちょっとしたお礼状や、プレゼントに添えるメッセージを書くときに便利ですよ。
デザインは縦書きの「birds song」と、横書きの「deer dream」の2種類があります。どちらも動植物が繊細なタッチで描かれていて、作り手の自然に対する愛情が伝わってきますね。優しいカラーと絵柄を見て、受け取る人の心も和むことでしょう。
デザインがかわいい一筆箋は、ノートや手帳に貼って使うのもおすすめです。好きな言葉や覚えておきたいことをメモしたり、気に入った絵柄を切り取ってデコレーションに使ったり、自由な発想で楽しんでみてくださいね。
一筆箋 浅野みどり birds song / deer dream
cozyca products
¥440(税込・参考価格)
大正ロマンを色で表したインク
続いてご紹介するのは、大正時代にタイムスリップしたような気分を味わえるインクです。日本と西洋の文化が融合した”大正ロマン”の世界観が、色で見事に表現されています。「寺西化学工業」は大正5年の創業当時から、筆記用インクを手がけてきたのだそう。
「オペラローズ」は華やかさと落ち着きを兼ね備えた、上品カラーが魅力的。このインクで綴られた手紙をもらえば、色の美しさにうっとりしてしまうでしょう。
また、インクボトルや箱のデザインもノスタルジックで素敵です。大正時代の雰囲気に浸りながら、書く時間を楽しんでみてください。
大正浪漫ハイカラインキ オペラローズ
寺西化学工業
¥1,373(税込・参考価格)
日本由来の文具についてもっと知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。伝統的な技術を活かして作られた文具が紹介されています。
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相手を想う気持ちを大和言葉に託して
大和言葉は、使う人も受け取る人も心地良く感じる言葉です。最初は使いこなすのが難しいと感じるかもしれませんが、大丈夫。まずは取り入れやすいものから始めてみてください。手紙に大和言葉をさりげなく含めて、相手への敬意や気遣いを伝えましょう。