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Suuuh編集部インタビュー「ASANEL」”私が使いたい”が詰まったブランドのひみつ

Suuuh編集部インタビュー「ASANEL」”私が使いたい”が詰まったブランドのひみつ

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気になる文具ブランドにお話を伺いたい!

これまで様々な文具を紹介してきたSuuuh編集部。素敵だなあと感じるブランドはごまんとあります。作り手の想いまで掘り下げて聞いてみたい、Suuuhの読者にぜひ知ってもらいたい!と強く感じるブランドさんに、ぜひお話をば…!と、アプローチしてみることに。

そうして今回、記念すべき初取材にご協力いただいたのは「ASANEL」。

文具の可愛らしさはもちろんのこと、まるで言葉遊びのような商品のネーミングや、製作者「ねぼう店長」のどこか独特な語りにはどこまでも引き込まれる魅力があります。私たちが用意した質問に対しても、もの作りそのものについて考えさせられるような深い想いを語っていただきました。

ASANEL 公式サイト

ASANELってこんなブランド!

ASANELの読みは「アサネル」。「朝、寝る」という言葉から名付けたそうです。ねぼう店長がオリジナルで製作する文具専門店で、店舗はなくECサイトのみ運営されています。

「自分で使いたい文具」をコンセプトに、マスキングテープやスタンプ、万年筆インクなど様々な文具を展開。noteTwitterInstagramでは、ASANELの商品やねぼう店長愛用の文具を使った手帳コラージュの方法をご紹介されています。

編集長 チハル
編集長 チハル

ASANELのSNSの写真は凛としていて、その透き通った空気感に心惹かれます。
どれもあたたかなイラストたちで、なんて目が気持ちいいブランドなんだ…!が私の第一印象です。

編集部員 エンネ
編集部員 エンネ

私はお話を伺う前から、こちらの「座ってるちゃん」が気になっていました。イラストはもちろんですが、なんて絶妙なネーミングセンス…!「キュン」どころか「ギュン」と来ました。

ここからはASANELのねぼう店長に伺ったインタビューをご紹介!読み応えたっぷりですよ。

ー ASANELで買い物をする時にまず購入してもらいたいおすすめの文具は?

コラージュで使いやすく仕上げも綺麗にできるマスキングテープがオススメです。

手帳でコラージュするレシピをInstagramやnoteで投稿しているので、ASANELのマステをご購入いただければ、ヒントになるかなと思います。

個人で楽しむ範囲であればコラージュを参考にするのはまったく問題ないので、ぜひ使い方に悩んだら見ていただけると嬉しいです。

ー 「自分が使いたい」をコンセプトとしていますが、その中でもねぼう店長自身がお気に入りのASANELの文具は?

20年以上イラストレーターをしているので、その経験から「ややくすみのある発色が柔らかい万年筆インクが欲しいな」と思っていました。自分らしい色が欲しくて製品化しました。

絵を描くために、まず画材として万年筆インクを調色するところからです。
時間も手間もかかる絵の描き方ですが、だからこそ創作に遠回りした分、色々な風景が見えます。
時間がかかるということはそれだけ絵と向き合ったり寄り添う時間が増えます。

私の作るインクは「染料」なので私の意思で思い通りにならない事も多く、そういう「思い通りにならないモノ」に身や心を委ねるところに面白さがあります。
人生に似ているなぁと日々感じます。抗わず生まれる色を受け入れていく。

受け入れつつも私という人間はきちんと意思を持ってその色を作り選んでいる。
色と対等な関係であり、お互いに影響しあいながら仲良くこの世界で相互である。
他者と相互であるというのは私の好きな考え方です。

そういう視点で万年筆インクがお気に入りです。

編集部員 エンネ
編集部員 エンネ

つい最近、初めてガラスペンと万年筆インクに触れました。その時に使ったインクの味わいを忘れられずにいるのですが、実際に書いていても、インクの乗りがまさに「思い通りにならない」…。しかし、それがとても良かったのです。
その不安定さを受容する姿勢は、調色の最中にも生まれていたのですね。ますますインクを味わう楽しさにハマってしまいそうです。

ー 商品のネーミングの由来、こだわりは?

言葉の響きの綺麗さや、言葉の持つニュアンスや質感を大事にしています。
「言葉」自体を画材と捉えて「商品名という絵を描く」感覚でいます。

小さい頃から、言葉遊びが大好きで詩とか自由律俳句とか、キャッチコピーとか、決められたルールの中で言葉を組み合わせて新しい風景をスケッチするようなものが好きです。

小学生のころから落語を聞くのも好きで、言葉が踊るというか、ころっころっと言葉が回る感じがあって、そういう言葉を上手く踊らせてしっくりきたものを選んでいます。

少し話がそれますが、去年からバイオリンを習い始めてクラシックを良く聴くようになりました。

何百年も変わらない物にはなにか人間にしっくりくるものがあるんだろうと思うのですが、響きやメロディーの組み立て方。言語化できない気持ちよさがあり、さらに言葉遊びが好きになりました。

非言語の気持ちよさを、どんな言葉で置き換えたら私の文具たちは喜んでくれるだろうか。人々が文具の名前を呼ぶとき、言葉がどう踊れるだろう? そんな風に捉えてネーミングしています。

文具がカワイイ名前をもらって喜んでくれるといいなと思って名付けています。

編集部員 ミヒロ
編集部員 ミヒロ

ASANELの文具は、商品そのもののかわいさだけではなく、ネーミングにも心をギュッとつかまれるようなトキメキを感じます。非言語の気持ちよさをいかに言語化するか、という感覚だからこそ、ASANELの文具を見たり手にとったりしたときの独特の心地よさが生まれているのですね…!

ー ASANELを使う人をどんなふうにイメージしていますか?

私が使いたいモノを勝手に私が作っているだけなので、「ASANELを使う人」のイメージは自分自身だったりします。
自分に正直に素直に作ったら、私が喜んでくれそうなので、それでOK。

人間はどんなに努力しても自分以外の人の考えや気持ちは想像しかできず、他人に対してできることは「信じる」しかありません。

「なんか分かる」と感じても、100%分かる他人はどこにもいないし、いるという前提で考えると相手を見る眼差しが歪みそうで怖い。 同じ物を見ていたとしても、決して同じではない。「誰かのため」が最初の前提だと、どこかに限界があるなぁと思っていました。
「本当に?本当に誰のため?」「世の中って誰のこと?」みたいに。

その迷いから解放されたくて、自分の気持ちをクライアントと捉えてみました。
自分の為だったら本当に好きかどうか分かるし、使いやすいかどうかも分かるから妥協も迷いもない。
なので使う人のイメージはいつでも私自身の中にあります。

ただ、少し大きく解釈すると「私が使いやすくて好き」に嘘やごまかしがなければ、なかなかよい完成度に辿りついているはずなので、結果、他の人が使っても使いやすく仕上がっているようにも思います。
私も他の人もわりと構造の近い同じ人間なので。

ー お客さまからきた要望はありますか?それを反映した文具はありますか?

要望に応えるとしたら再生産はこまめにしています。再生産が難しい物以外はゆるゆるレギュラー販売が基本です。

それ以外だとお客さまとなるべくたくさん話すようにしています。今はSNSもありお客さまとコミュニケーションはとりやすいです。

ASANELで少し変わっているとしたら、大事に読んでいる場所がもうひとつあって、お店でお買い物をしてくださった方が書いてくださる備考欄のメッセージです。
お買い物の備考欄は本名でお買い物するからなのか、とてもその人らしさが伝わってくるメッセージが多いです。SNSの匿名感覚とは少し違う言葉が多いのが特徴的。レビューとも違います。
人と人が対面で話す時に近いなと感じています。声が聞こえるような心の距離感覚でしょうか。

ASANELでは買い物後に備考欄にメッセージを書くと私からたまにお返事メモが来るんですが、ここの紙飛行機で手紙を交換するような不思議なリズムが好きで、ここでの会話から新しい文具を作ることがあります。

困っている相談を伺って「たしかにその部分、私も困ってた」とか「あ、それ使ってみたい」と思ったら作ります。

もちろんですが、アイディアをくださった方にはその作った文具をお送りしたり、アイディアから文具を作ってもいいかきちんと相談してから作ります。

編集部員 ミリ
編集部員 ミリ

ASANELのSNSを見て驚いたのが、お客さまとのコミュニケーションがとても活発だったこと。これだけ作り手の存在を近くに感じられるブランド、なかなか無いと思います。
それだけコミュニケーションを大切にしているからこそ、ASANELの文具は”かゆい所に手が届く”ものばかりなんだなぁ、と納得。絵の色味やタッチだけでなく、文具そのものに温かさを感じる理由も分かった気がします。

まとめ

自分を顧客と捉えた発想から商品のネーミング、製品を購入したお客様とのコミュニケーションまで、「ASANEL」の全ての工程にねぼう店長の想いが確かに込められていることを強く感じたインタビューでした。

ASANEL文具のイラストひとつ、商品名ひとつとっても、ねぼう店長の繊細であたたかな感性がぎゅっと詰まった宝物のように感じます。

ブランドについての想いを伺った一方で、そんな感性溢れ出るねぼう店長自身にフィーチャーしたのがこちらの記事。ぜひご覧くださいね。

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