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Suuuh編集部インタビュー「ねぼう店長」が考える。使う人作る人、ASANEL文具の幸せ

Suuuh編集部インタビュー「ねぼう店長」が考える。使う人作る人、ASANEL文具の幸せ

文具専門店「ASANEL」インタビュー、"ねぼう店長編"です。

文具ブランド「ASANEL」へのインタビュー記事、今回はASANELの製作者"ねぼう店長"にフィーチャーしたインタビュー。

ASANELの製品は一体どのようにして生まれるのか?そもそもブランド立ち上げのきっかけは?…など、ねぼう店長自身の頭の中を探ります!

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文具ブランド「ASANEL」とは?

ASANELの読みは「アサネル」。「朝、寝る」という言葉から名付けられました。ASANELは名付け親である"ねぼう店長"のオリジナル商品を展開する文具専門店で、ねぼう店長が「自分で使いたい文具」をコンセプトに製作しています。
マスキングテープやスタンプ、万年筆インクなど様々な文具が揃いますよ。

ASANEL 公式サイト

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ー 文具を作る時のアイデアの源は?

今、週末と平日の夜に大学生をしています。ずっと学びたかった「人の仕組み」を勉強しています。

その中で「記憶」にとても興味があり、学問的・科学的に「記憶」を学んでいるので、自分の中の「記憶」からヒントを得て作る事が最近の楽しみです。
記憶は色々な学科にありますが、私は主に「認知」の部分の記憶が好みです。

今まではデザインや絵、美しい風景や色からイメージが湧いていましたが、そこに学問が加わって、新しい角度から物が見えるようになって面白い視点が増えました。デザインと学問のハイブリットが私のアイディアの源です。

勉強をしていると教科書以外に参考文献も出てくるので、面白そうな本を夜な夜なベッドで読んでいます。

科学的な実験の本や、考え方を問う哲学、ユニークな学者さんの人生や社会的背景。そういう本を読んでいると、「あの感覚ってそういうことだったのか」と閃く事だらけで、その閃きと長く絵を描いてきた経験が混ざって文具へ落とし込めると良い感じになります。

ー イラストを描く時の画材を教えて下さい。

今はメインが万年筆インクとiPadProとMac(Adobe系ソフト)です。
アナログとデジタルをいったりきたり、ゆれながら作ります。

中学生のころからパソコンで絵を描く環境が揃っていたので、アナログとかデジタルとかの感覚があまり分かれておらず、「こういう色が欲しい」「こういうニュアンスはこれで」と、もやもやしたものを身体から出すときにどの道具を使えば良いか感覚的に決まるので、それをすっと選んで使います。

あまり考えて計算してというより、心や身体からどんどん自由に吐きだしていって、最終的に全部のパーツがパソコンで合体する感じです。

編集部員 ミヒロ
編集部員 ミヒロ

ASANELの文具のイラストがとても素敵なのでねぼう店長さんはどう描かれているんだろう…と気になっていました。私自身、絵を描くのが趣味なのですが、アナログもデジタルもひとしく画材で、なにかを形にする時に最適なものが感覚的に決まるというのがとても興味深いです…!

ー 文具ブランドを立ち上げたきっかけは?

最初は「ないから作るかな〜」くらいのほわほわした気持ちでした。
名乗らないと外側から見てよく分からないので、ASANELという名前の看板を作りました。分かりやすくなったと思います。
どんなものも名前があれば分かりやすくなります。

自分1人で予算も決定権も持って自由に作るので、「古くなって売れ残ったカレンダーとか手帳ってどこいくんだろう?」「なんでこんなに安く売ることができるんだろう?」みたいな「なんで」を一個ずつ自分が納得できるように分解したくてブランドを立ち上げたような気がします。

その「なんで」を「自分だったらこうやって腑に落ちてみたいな」と思って作り続けています。

少し分かりにくいと思うので例をだすと、ASANELには文具を作っていただく会社にザックリした納品時期は話しますが厳密な納期を決めません。発売日も決めません。

作る人たちが無理しないで作れる仕組みを作ってみたくて、製造会社の皆様に「急な締め切りの仕事があればそちらを優先してOK」とか「誰か職人さんが体調を崩したら休んでください、それで遅れるならOK」にしています。連絡さえもらえたら全部OK。

一緒に働く人が正直でいられるような空気の配慮を関係性に作っています。正直になれるように、時間のゆるみを最初から作っておくのはとても大切です。

物作りにトラブルはつきものなので、だいたいの製造目安はあっても、厳密な締めきりがない方がみんなが安心して働けるんじゃないかなと以前から思っていました。

発売日が決まっていないので、製造が遅れてもなにも支障がないんです。失敗してもやり直せます。完成してから発売日を決めるシステムです。あとから発売日確定できる仕組みは私自身の体調も考慮できますし、いい仕組みだなと感じます。

作る人達も安心して作業ができたら無理をしなくなる。仕上がった物を受け取るとき、「あぁこの文具は誰も無理していないから良い文具だなぁ」と思えるので、私が最初に幸せになれます。

編集長 チハル
編集長 チハル

ないから作る、自分で使いたいものを作る。
すごくシンプルで、そこが手に取る人の気持ちの一番近くな気がします。
関わる全ての人が健やかでいられる「時間のゆるみ」私も持ちたい…!

ー ブランドを立ち上げてよかったと思った瞬間や出来事は?

私は文具をいっぱい売って有名になりたいわけではない。 作る人も使う人も私も、みんなが上下関係なく相互関係で繋がって、なんとなくゆるく幸せな状態ならいいなぁと思っていますし、そういう人生をひとりの人間として生きてみたいと願っています。

私はただただゆるく幸せに日々を生きていきたいだけなので、「自分が幸せだなぁと感じる仕組みを作れるのかな?」と実験しているのかもしれません。
生きていく思いを表現するのに文具ブランドという仕組みは相性が良かった。とてもシンプルです。

活動をはじめて数年になりますが、毎日お客さまからいただくメッセージやSNSの使用感想の投稿は丁寧に見るようにしています。

かわいいとか嬉しいとか使うと楽しいとか、たくさんの優しい言葉で溢れていて、毎晩寝るとき、ほこほこした気持ちになります。
「明日は何を作ろう」と考えて眠れるのはまさに幸せの極みで、そこには希望があるなぁと感じています。

私が私をきちんと幸せにすることで、他の人の幸せも作っている。
自分を幸せにする仕組みは気持ちに余裕ももてるので、より多く外側に自然になにか届けることができるし、自分以外の困っている人のサポートもできる。

お客さまだけではなく、だんだん作っていただく製造会社のみなさまとも良い関係ができてきましたし、この前、ある会社の皆様から突然お菓子とお手紙が届いたんですが「あぁ作る人たちもきっと幸せなんだ」と感じられて嬉しかったです。

製造会社のみなさまがInstagramを見てASANELを買って使って下さっているお客さまを一緒に見まもって下さっています。製造現場から「使う人」が見えることで職人さんやスタッフさんも嬉しくなるそうです。

私もなるべくフィードバックを伝えるようにしています。作る人、使う人、その真ん中で仕組みを運営する私。誰も無理せず少しずつ輪になって回していく。
この仕組みと循環が良い感じに運用できていて、ASANELをはじめて良かったなぁと思っています。

すごく小さな循環ですが、無理しないので全体が見渡せられればいいので、このサイズが私にはちょうどいいです。
今後もASANELの規模を大きくすることなく、身の丈の幸せにちょうどいいこのくらいの大きさの仕組みを丁寧に丁寧に育ててみたいという目標を持てたことが、ブランドを立ち上げて良かったなというポイントです。

作る人、使う人、真ん中の調整の人。あたたかい心の循環は健康で人間らしいですし、物作りが軸になった小さな生態系のようで大好きです。人と人の心にも生態系のような循環はある。

お互いに影響し合いながら、それぞれの価値観の幸せを育てる。困ったら助け合う。
このあたたかさを大学で学んでいる科学的エビデンスと長く続けているデザインやアートをベースに作る。
宝物です。

ー 今後の展望や挑戦してみたいこと、「これ作ってみたい」などありますか?

今、すでに決まっている物で「ASANEL BOOK」を作る予定です。

手帳コラージュが大好きで、コラージュは日々の自分の心の揺れが良く出てくれて、眺めていて面白いので毎晩のように自然とアトリエの机に向かってしまうのですが、頑張ると疲れるので、なるべく簡単でかわいくて片付けが楽な方法を日夜研究しています。

その中でコラージュの手順をお料理のレシピのように捉えて、「今の気分はこのコラージュに近いな」とレシピ集から選んで手帳を描いていくと続けやすいなぁと気付きました。

その手帳コラージュのレシピを本にまとめてASANELで自社出版したいなと、今、準備を進めています。

今までの一般的な出版社のルールで本を出版すると、どうしてもSNSに本文を投稿できないとか、表紙以外見せられないのでインスタライブのワークショップでテキストに使えないとか色々新しい世界のルールと合わない部分があり難しさを感じていました。

ASANELとして本を作り、一部権利をゆるめた本(たとえばSNSに投稿するとき「このレシピを使いました!」みたいに参考にしたレシピの写真をSNSに投稿できるとか、この部分のレシピがカワイイと好きな部分を写真で投稿できるとか)が作れたら、もうすこし手帳コラージュが身近になったり、続けやすくなるかなと思っています。

私もワークショップを開催して、一緒に手帳を描く時間を作りたいので、配信に映り込んでもOKな本が欲しかったです。

小さくて薄い本なので、好きなレシピが載っている巻だけ集めてOKの構想です。
本の形の文具で、文具みたいな本が次に作りたいものです。

編集部員 ミリ
編集部員 ミリ

手帳コラージュをやってみたいな、と思いつつも、1からページを作り上げることにハードルを感じていた私。

もし「ASANEL BOOK」があれば、難しく考えすぎることなく、真似するところから手帳コラージュを楽しめそう!と思いました。お手本があるって、私のような初心者にとってかなり心強いはずなんです。

本の形の文具で、文具みたいな本…想像力とワクワクが掻き立てられますね。ASANEL BOOKを片手にワークショップに参加できる日、待ってます!

まとめ

バイオリンを習ったり(ブランド編記事参照)大学生として勉強したりと、なんともバイタリティに溢れたねぼう店長。その一方で、ASANELの文具作りのモットーは「無理せず」。生活スタイルは「朝、寝る」…。自分に一番合った、絶妙なバランス感覚で生きている方という印象を受けました。

また、その絶妙なバランス感覚が、文具を使う人だけでなく、作る人やねぼう店長自身まで、みんなが幸せでいられる仕組みづくりにも活きていました。

ASANELの可愛らしい文具からはなかなか想像が出来ないような、ねぼう店長の興味深い人間性を垣間見ることができてとても嬉しく思います。SNSでは頻繁にコメントでやり取りされてますし、インスタLIVEも時々開催されてるとのこと。嬉しいことに、ねぼう店長と接する機会はたくさんありそうですね。

こんなにかわいいコラージュ、自分じゃ出来ない…!とハードルを感じてしまう方も、ねぼう店長のコラージュレシピは商用利用でなければ真似してOKとのこと。「ASANEL BOOK」も楽しみです。

ASANELの各種ページはこちら。興味を持った方は、ぜひ覗いてみてくださいね。一緒にASANELの文具を味わい尽くしましょう!