揺らめき瞬く、インクの宇宙。シマーインクに魅せられて
シマーインクというインクについてご存知でしょうか。多種多様なインクがあるなかでも、細かいラメが入ったものをシマーインクといいます。今回は、見る角度によって色合いが変わるシマーインクの魅力に注目。おすすめのアイテムと併せてご紹介します。
シマーインクとは
インクには「インク沼」と呼ばれるほどさまざまな種類があり、手書きの文字やイラストを美しく彩ります。
なかでも繊細な輝きで見る者を惹きつけるのが、細かいラメ入りのシマーインク。そもそも「shimmer(シマー)」とは、英語で揺らめきや煌めきを意味するのだそう。見る角度や光の当たり具合によってラメのキラキラ感が変化するところが、シマーインクの大きな特徴です。
まずは真上からインク色を眺めたら、次にちょっと首を傾げて斜めから見つめてみて。宝探しをしている気分でワクワクしながら、あなたが一番「素敵だな」と感じる瞬間を見つけに行きましょう。
ただし、万年筆にシマーインクを使うとラメが詰まってしまう恐れがあります。使用する筆記具はつけペンやガラスペンがおすすめ。また、シマーインクに含まれるラメは沈殿しやすいので、インクボトルをよく振ってから使ってくださいね。
シマーインクの使い方アイデア
キラキラ、ゆらゆら。そんな表現がしっくりくるシマーインクを使って、日常のちょっとしたシーンを輝かせる方法を考えてみましょう。
言葉に特別な思いを込めて
シマーインクで綴った文字には、ラメの煌めきがじんわりと滲みます。見慣れたはずの自分の筆跡も、いつもとは違う表情に。
普段インクで手帳や日記を書いているなら、時にはシマーインクを使ってみて。楽しかったことや嬉しかったことは、シマーインクで輝き続ける思い出に。悲しいことがあっても、シマーインクがやさしく寄り添い、励ましてくれる気がします。
日常シーンでは、こちらの方のように書写でシマーインクを使うのもおすすめです。「フェリスホイールプレス」の「April showers」は、濃いグレーに銀のラメを溶け込ませたインク。控えめながら美しい輝きは、一文字ずつ書き写すうちに心を落ち着かせてくれそうです。
また、シマーインクは大切な人へのメッセージにもぴったり。お祝いや感謝、エール…心を込めて伝えたい言葉は、キラキラの文字にのせて伝えましょう。
イラストもいきいきと輝く
シマーインクは文字を書くときだけでなく、イラストを描くときにも使えますよ。
例えば色の濃淡を調整したり複数のインクと組み合わせたりして、美しいグラデーションに。また、ガラスペンで筆跡に強弱をつけながら描き込めば、立体的な線画に仕上がります。
こちらの投稿でイラストに使用されているのは、「エルバン」の「アニバーサリーインク ターコイズ ペルシャ」。明るく鮮やかなペルシャブルーのインクにゴールドの微粒子が無数にちらばる様子は、まるで天の川のよう。
こうやってシマーインクを紙の上に塗り広げると輝きがより一層際立ち、ずっと眺めていたくなります。
シマーインクでイラストを描くなら、ガラスペンを使ってみましょう。こちらの記事では、ガラスペンの初心者から上級者まで試せる使い方についてご紹介しています。
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心ときめくおすすめのシマーインク
綴る文字に、描くイラストに、繊細なシマーインクの輝きを宿らせてみませんか?ここからは、キラキラに目も心も魅了されるおすすめのシマーインクをご紹介します。
波打つ煌めきに浸りたい「 Dipton(ディプトン)」
最初にご紹介するのは「セーラー万年筆」のつけペン用インク「Dipton(ディプトン) シマー」です。
つけペンといえば、ペン先を水洗いすれば簡単にインクの色を変えられることで人気の文具。「Dipton」シリーズには、光を纏って輝く「シマー」と、元のインクとは異なる色で金属のような光沢が生じる「シーン」の2種類があります。
なお、公式では万年筆での使用を不可としているので注意してください。
どちらもインクの見え方に遊び心があるアイテムなのですが、今回は「シマー」に注目しました。
インクには偏光ラメが入っていて、色の変化をより繊細に演出します。光の当たり具合や紙の角度によってインクの輝きが増したり、特定の色が見え隠れしたり。夜空に揺らめくオーロラのように、捉えどころのない美しさに目を奪われます。
煌めくカラーは全部で6色。第1弾では「音楽」、そして第2弾では「天空」をテーマとしてそれぞれ3色を展開しています。
- Coral humming(コーラルハミング):珊瑚のはなうた
- Ice dance(アイスダンス):氷上のダンス
- Mellow forest(メローフォレスト):甘美な森
「Dipton シマー」第1弾
- Mystic fog(ミスティックフォグ)」:神秘的な霧
- Angel's ladder(エンジェルズラダー):天使の梯子
- Twilight roma(トワイライトロマンス):夕暮れのロマンス
「Dipton シマー」第2弾
楽器や演奏者次第で幅広い表現ができる音楽も、刻々と表情を変える天候や空模様も、シマーインクで表現するのにぴったりではないでしょうか。

つけペン用ボトルインク Dipton(ディプトン) シマー
セーラー万年筆
¥2,200(税込・参考価格)
冒険心をくすぐる「アニバーサリーインク 1670」
続いて、「エルバン」の「ジャックエルバン アニバーサリーインク 1670」をご紹介します。
「エルバン」は、1670年に船乗りのジャック・エルバンによって創設されたフランスの老舗ブランド。もともとシーリングワックスを扱っていましたが、4代目の時代には自然の豊かな色彩から着想を得て、独自のインクを生産するようになりました。
数々の航海に臨んだ創始者エルバンの人生を反映したコレクションが「ジャックエルバン」です。
そのなかでも「アニバーサリーインク1670」は、ブランド生誕340周年を記念して作られたもの。名前に創業年が入っていたり、ボトルにシーリングワックスがあしらわれていたりと、エルバンの歴史をそのまま体現しています。
こちらはつけペンか、吸入式万年筆で使うようにしましょう。
深みのあるカラーをベースに、金の微粒子が輝きを添えます。決して派手ではなく、芯の強さを感じるような色合いには、エルバンの冒険精神が息づいているかのよう。何かに挑戦したいとき、誰かの背中を押したいときには、このインクから勇気をもらってみて。

ジャックエルバン アニバーサリーインク 1670 <金の微粒子入>50ml
HERBIN(エルバン)
華やぎに包まれる「Ferris Wheel Press (フェリス ホイール プレス)」
「Ferris Wheel Press (フェリス ホイール プレス)」は「また書くことに夢中になる 」をコンセプトに掲げたカナダ発の文具ブランドです。
自然の風景から童話に至るまで、この世界に在るものにインスピレーションを得たインクカラーはどれも個性的。モチーフにちなんだネーミングから、どんな色なのか想像してみて。
また、香水瓶に似たボトルや絵本のように美しいパッケージなどデザインの細部にこだわりが感じられ、大切に飾っておきたくなります。
こちらは「Festival Grove(フェスティバル グローブ)」という名前のシマーインクです。
華やかな緑色は、フランスの修道院で伝統的に作られているリキュールのシャルトリューズが由来なんだとか。このシャルトリューズグリーンにゴールドのラメがたっぷりと入っていています。
見る角度によって緑が濃くなったり、明るさを帯びたり、シマーならではの変化にうっとり。また、文字を書いたときと太めのラインを描いたときとではまた違った印象を受けるところも面白いですね。

Festival Grove 38ml
Ferris Wheel Press (フェリス ホイール プレス)
¥3,630(税込・参考価格)
猫足のボトルが愛らしい「ボトルインク ブルーエディション」
最後に「DIAMINE (ダイアミン)」の「ボトルインク ブルーエディション」をご紹介します。
「DIAMINE」は、1864年にイギリスで創業したブランド。長い歴史の中で伝統的な製法を守りながら、時代の変化に合わせて多様なインク製品を作り続けています。
「ブルーエディション」シリーズは、もともとアドベントカレンダーの窓に25色のインクを詰め込んだ限定品「ダイアミンインクベントカレンダー」が好評だったことから復刻されました。
シリーズにはスタンダートやシーン、シマーリング、さらに2つの性質を併せ持つシーン&シマーリングなど種類豊富なインクが勢揃い。また、猫足をかたどったボトルデザインはクリスマスツリーを飾る星のようにも見え、ロマンティックな佇まいです。
こちらの「スノーストーム」は、シルバーのラメが入ったシマーリングインクです。ボトルキャップとラメの色がおそろいになっているところに、作り手の気遣いとセンスが感じられます。
インクカラーは、少し青みがかった灰色。その表面にシルバーがキラキラと光を反射する様子は、どこまでも広がる雪原を連想させます。厳しくも雄大な自然に思いを馳せると、自分の気持ちを素直に綴れそうです。

ボトルインク ブルーエディション スノーストーム シマーリングインク 50ml
DIAMINE(ダイアミン)
¥2,860(税込・参考価格)
シマーインクで世界がもっと美しく見える
シマーインクが放つ輝きは繊細ながらも、凛としてしなやかな強さを秘めているように見えます。視線を動かせばインクの表情が変わる、そんな体験は私たちの世界をもっと美しく感じさせてくれるはず。ぜひお気に入りのシマーインクで、あなただけの煌めきを捕まえてみてくださいね。